2015年2月6日金曜日

微分方程式とはなにか

そもそも、微分方程式とはなんでしょうか。関数の微分が関数自体に依存する関係を表すものを、微分方程式といいます(1)。より平たく言うと, ある関数と, その関数の “導関数(注1)” の関係式です(2)。わからないですか?僕もわかりません。より詳しく見ていきましょう。

微分方程式のなかでも、「未知関数 y(x) とその導関数の入った方程式」を「常微分方程式」(ordinary differential equation, ODE)と呼びます(3)。
• y′ = y
• y′′ = −y
• y′′ + xy′ − y² = 0
(なお、「'」は x で微分したことを意味します)
このときy(x)を求めるのであれば,x を独立変数,y(x) を未知関数と言います。

未知関数は複数あることもあります。未知関数が y1(x), y2(x), . . . , yn(x) の n 個あって、それらとそれらの導関数(と x)を関係づける方程式があれば、それは常微分関数ですが、いくつかの常微分方程式が連立されている場合、これを「常微分方程式」と言います(1)。常微分方程式は単に微分方程式と呼ばれることもあります。

わかりましたか?僕はわかりません。よって、具体的な例を見ていきましょう。たとえば、ニュートンの運動方程式を例に常微分方程式を考えてみましょう(注2)。ニュートンの運動方程式はご存じの通り、F=maで表されます。ただし、 a:加速度、F:力、m:質量。 

ここで、 t を「時間」として、ある運動している物体 x の位置の変化を
 と書きます。ここで、x は現在位置を求める関数であり、すなわち移動距離の関数です。また、移動する物体の速さは常に一定のvであるとします。
ある質量mの物体の加速度aを求めるには、距離xを時間tで2回微分します(注3)。よって、物体 x のそれぞれの地点1、2、3においての力Fは、次のように求められます。

加速度x'' ×  質量m  = 力 F

これは、x(t) が未知関数、t が独立変数の連立微分方程式系(未知関数3個,2階)です。このとき、これを満たすような関数 x = x(t) をこの微分方程式の解と呼びます。

この微分方程式系の解はいっぱいあります。(微分方程式の解は普通は一杯あります。)速さが一定のvなので加速度はゼロです。ということは等速直線運動なのでF1, F2, F3もすべてゼロです。質量がゼロでない自然数の値だったとすると、x'' = 0になるx(t)はすべて解となります。つまり定数Cを使って、x = Ct が解となります。 (x = Ctをtで一回微分するとx = C, さらに x = C を t で微分するとx = 0になります。)

脚注
(1) 導関数とは、ynを微分したときに出てくるnyn-1のことです。
(2) この例は半分くらい原隆(2013)に沿うものです。
(3) ある物体がある速度で移動した距離を、時間で1回微分すると速度に、2回微分すると加速度になります。

参考文献
(1) 谷口健二・坪井俊. 2006. 「講義ノート(4月12日)」青山大学. 1ページ。
(2) 和歌山大学教育学部. 2011. 「微分方程式 講義資料」和歌山大学. 1ページ。
(3) 原隆. 2013. 「数学IA の講義メモ」(九州大学数学1Aのための講義メモ)九州大学. 1ページ。

Further reading
わかりやすい解説
琉球大学物理学科「微分方程式と友達になる」2011年7月19日の授業内容。